DIE WITH ZERO

 世界的なベストセラーになった、人生設計についてのアメリカの本、DIE WITH ZEROを読みました。

 人々は必要以上にお金をため込む習性があり、そのために人生の貴重な経験、時間、健康を無駄にしているという内容です。当たり前のことですが、ここまで深く考察されている本は初めてでした。無駄に貯蓄しすぎて、使いきる前に死亡することは頭ではわかっていても、実際には最適なお金の使い方を深く考えず、計画を立てずに貴重な時間を浪費してしますことはよくあると思います。

 しかし、現在の日本では、物価が高騰し、毎日の生活がギリギリで暮らしている人も多いので、金銭的に余裕ができている人に対する内容の本だと思います。そもそも貯蓄がなく、毎日カツカツの生活をしている人にとっては腹正しい内容かもしれません。ただ、そういった人を対象にしている本ではないのですが。

 また、子供への財産分与に関しては、死後の相続より、生きているうちに贈与したほうが、こどもが十分にそのお金を利用できる述べられています。これはその通りで、私の以前の職場の上司が、遺産相続した際に、「親が亡くなる前に、もらえていればありがたかった」とつぶやいているのを聞いたことがあり、その通りだと思いました。若くて一番お金が必要な時に、もらえた方が年をとってもらうよりも何倍も役に立つと思いいます。

 目からうろこという内容ではないですが、資産について、特に資産の使うタイミングについて、深く考えろという意味では、役に立つ内容だと思います。

 本を読んでから、著者についてインターネットで調べたところ、著者は5億ドルを運用するファンドマネージャーであることを知りました。それほどの大金持ちであれば、お金をどんどん使わないと、その莫大な財産を使いきれず無駄にするという気持ちになるのはよくわかります。逆に一般の資産を少ない人にとっては、この内容はあまり参考にならないと思い、興ざめました。余るほどお金も持つ大金持ちが、一般庶民に後悔しないようにお金を使えといっても、説得力に欠けます。

 英語としては、容易で非常に読みやすい内容で、多読の練習としてはよいと思います。200ページ程度でボリュームもちょうどよいです。

 但し、本の製本はやや雑で、読むのには問題ないですが、インクの汚れ等が目立ちました。アメリカで印刷されているとありますが、日本の製本技術よりは劣る印象です。